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企業としての消費者金融 〜サラ金の本質とは?本屋に並ぶ書籍でおおよそ職場としての消費者金融を書いているものは見当たりません。この業界とは無縁の方、お客になる側はもちろんのこと、実際に勤務している者でさえ知らないことがあります。 よく話題になりがちなヤミ金や小規模の会社は別として、おおよそ一般的な就職対象になるようなサラ金会社とは何なのか? 利益の根源サラ金の利益の根源は言うまでも無く利息収入です。客商売風に言えば、お客様から頂く利息が自分等の給料である、となります。 そこで利息を得る方法ですがこれも単純明快で、「時は金成り」の理屈で顧客に貸したカネから定期的に金利を巻き上げる事によってそれが収益となっています。 資金を安全に眠らせて、それによって得た金利を集めてさらに多くの人に貸す これを繰り返して雪だるま式に貸付金を膨らませるのがサラ金を含めた全ての貸金業の基本です。 ちなみに金融の「融」の字は、「何かを動かす(異動させる)」という意味があります。 「融業」とは、何かを動かすことによって利益を上げる業種・業態のことです。 業務の目的多分ですが、これを誤解していると思います。サラ金屋と聞くと誰しもが「カネを貸して取り立てるのが仕事」と思い込んでいます。 まぁ、ハズレではありませんが、実際のサラ金業務の本質はもっと別のところにあります。 ちょっと逸れますが、会計用語に貸倒償却比率という語句があります。 貸金業において貸倒れ(回収不能)は避けては通れない問題ですが、「貸し倒れ償却」と「貸倒れ金」は全然意味が違います。 「貸倒金」というのは単純に年間幾ら、あるいは債権の何%が踏み倒されたかという話であり、いわゆる現場レベルでの話であるのに対し、「貸し倒れ償却」会計上の処理を意味します。 一般的な会計処理で「損金」として計上できる理由(内容)は限られており、 耐用年数が経過しており、商品価値が存在しない。 時効、あるいは無効になっており、財産として計上できない。 ・・・であるところ、サラ金の場合は商品も在庫もカネです。 簿記を少しでもかじったことがある人ならすぐに判るのですが、損したからといってそれをそのまま帳簿に載せることはできません。 つまり、単純な現場レベルの回収不能ではなく資産価値がなくなった場合のみ「損金」として計上できます。 会計処理ではこれを資本の度合いや利益とすり合わせながらすこしずつ消していきます。 それが経理でいう償却処理です。 ですが会社に充分な利益がない場合、貸倒償却を行なうには資本を切り崩さなければなりません。(貸し倒れに限らないが) 最近銀行の破綻などで耳にする自己資本比率ですが、資本を切り崩すと自己資本比率が下がります。 そこでなんですが、自己資本比率は数字そのものが金融業の生命線でもあります。 当然サラ金屋といえど銀行と取引があり、会社によっては株式を公開しているのですが、自己資本比率は金融業の経営状態を意味するので悪化すると「この会社は良くない」と判断されてしまいます。 となると、取引銀行が融資を引き締めたり、あるいは株価が下がったりして資金繰りが悪化し、経営は一気に傾きます。 すると融資するための資金調達ができなくなります。(=破綻の前兆) ですが、現場レベルで回収不能になっても資産価値さえ残っていれば「損金」にはならないので貸倒償却をする必要はありません。 つまり、支払が滞ってもそれが時効になったり破産されたりして無効にならなければそれは延々と「債権」として残ります。 確かに金利の支払いが滞ると利益は下がりますが、だからといって数字上の資産価値がなくなるわけではありません。 ひとことで言えば、債権を会計上の貸倒れにしなければいいのです。 これがサラ金の業務の意味です。 無作為に貸す意味ロクな審査もせずに貸すよく言われます。 確かにロクな審査はしていません。 審査については別項を参照ですが、そんなにムチャな貸し方をして経営として大丈夫なのか? これが大丈夫なんです。 ここも数字の話になるのですが、サラ金の期日内入金率(支払期限内に払う=延滞しない)は概ね70〜80%です。 2〜3割は延滞してサラ金社員の手を煩わせるのですがそれは置いておいて、8割は黙っていても払うのです。 例えば1000人に50万ずつ貸したとします。 サラ金の年利は約30%なので単純計算では1年で1億5000万の利息収入が得られます。 その中の2割が延滞するとして、残り8割の予測利息収入が1億2000万。 2000万は利益として残すとして、残り1億をさらに50万ずつ200人に貸すと、、、 その次の年は前年の1億5000万+今回増えた分の3000万で合計1億8000万。 それが2割滞るとしても1億4200万が利息収入となります。 さて延滞者になるのですが、年間で5%が回収不能になるとします。(実際はもっと少ない) この5%が貸金満額を踏み倒されたと仮定しても年間の損失は2500万程度です。 これなら審査を慎重にして5%を減らす努力をするよりも、審査を簡単にしてより多くの人に借りてもらい、期日内に払う8割の絶対数を増やすほうが明らかに儲かります。
とりあえず、貸してみる。(←コレが既にムチャですわな・・・) 貸す段階では判る由もないのですが、統計的には8割は黙っていても払っているのです。 ですから、
っていうのは全部誤解です。 それは全て「数字」が証明しています。 現場レベルの話先の2項目で、「貸倒れ償却比率」と「無作為に貸す」という行為の裏側を説明したのですが、それが現場では具体的にどういう部分で顕われたりするのか?サラ金業の現場は基本的に分数です。 未回収金額 / 貸付総額
現場ではこう呼んでいます。
未回収金額 / 貸付総額
↓↓ 管理 / 営業 数字をあてはめてみましょう。
未回収金額 / 貸付総額
↓↓ 管理 / 営業 20 / 100 するとこの数式の答えは「0.2」になります。 つまり延滞率は20%ということになります。 では問題ですが・・・
それがサラ金社員の仕事です。 例えば単位を人数に切り替えますと、管理(回収)側があと19人回収すれば1%になります。 これは容易く想像がつきます。 しかしそうしなくても、営業(貸付)があと1900人貸しても1%になります。 屁理屈でもなんでもなく、会社が社員に望んでいるのはこの「結果」だけなのでどちらの方法をとってもかまわないのです。 結果、その数字が低ければ低いほど業績が良い、即ち優秀(=「優良」とは微妙に異なる)な業務を行っているということになります。 つまり、非合法だったり暴力的な取立をしなくても貸せば貸すだけこの数字は優秀に近づくわけです。 どの道を通っても最後の答えは同じにしなければならないのですが、分子(回収率)を下げるには限界がありますし、行き過ぎると社会的信用における危険も伴ないます。 しかしながら資金力さえあれば分母を上げるのに限界がありませんし、貸付のリスクについても先のとおり問題になる程の影響力はありません。 もちろん規模が大きければ多少批難されてもお客は来ます。 営利企業として考える場合、あるいはそこで就業する1社員として見るなら「分母」に傾向した会社の方が安定している事実は否めません。 サラ金の本質は取立とはぜんぜん関係ないところに存在しているのです。 必要悪という考え方本来、貸金業をはじめとする金融業は「待ち」の商売であるのが正しい姿だと思います。企業が営利である以上、そこには利潤の追求と業界競争が発生します。 競争があるからこそ利便性が追求されるのは歓迎すべきことですが、そこに利潤の追求が加わると往々にしてモラルの欠落が発生します。 貸金業における金銭貸借はあくまで商取引です。 借りたモノは返すのはあたりまえですが、延滞債務者の私生活を蹂躙する行為はとても商取引とは言えないと思います。 しかし、「商取引なら貸し倒れは容認すべき」という考え方で「サラ金」は存在できないため、仮にそうなった場合にサラ金の顧客になる人に誰がお金を貸すのか?という問題が発生します。 「借りなければ良い」とか「借りるのがおかしい」という考え方は、現在のサラ金業界の貸付高=顧客数を見ればもはやファンタジーでしかありません。 つまり、国営を含む他の金融業がキレイ事で存在できるのはサラ金がダークな部分の受け皿となっているから、と僕は思います。 とはいえそれは単なる個人的な意見です。 違う立場で見れば違う意見があっても不思議ではないです。 関連リンク
2004/**/** 初版
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